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REPORT

TOKYOFABBERSの活動

FABBERS’ ACTION PROJECT成果報告会レポート

2015年12月17日にMakers’ BaseにてFABBERS’ ACTION PROJECTの成果報告会が行われました。 

3つのテーマ「ものづくりの道具」「バリアフリー」「シェルター」を新しい形で提案すべく、進めてきたこのプロジェクト。どのような成果が生まれたのでしょうか??

 

ゲストコメンテータ4名(原雄司さん:株式会社ケイズデザインラボ 代表取締役、塩澤豊さん:オートデスク株式会社/3D エバンジェリスト、越智岳人:fabcross副編集長/ウェブマスター、森司さん:アーツカウンシル東京)をお迎えし、アドバイスをいただきながら、活発なディスカッションが展開されました。

 

まずはシェルターチームの発表からスタート。

20151217シェルター全員

「FabLab Shibuyaが得意とする硬質素材とHappyPrintersが得意とする軟質素材を組み合わせ て、これまでの常識にとらわれない新しいシェルターをつくっていきます。 もちろん想定する場面やサイズに規定はありません。」と宣言していたこのチーム。前回の中間報告会では「巣」のようなもの、「折り」構造のものを作ろうとしていましたが、議論を繰り返し、本当に大事だと思ったコンセプトだけ残したとのこと。

それは、「楽しく作れる」「入ってみたくなる」シェルター。

キーワードは、「張力」「折り」「街に溶け込む」「オープンソース」「展開性」です。

まずは自立させることを目指し、2次元データだけで作れるEVAを使った接続部をデザイン。その後、試行錯誤を繰り返しました。

 _MG_6597シェルター 

この構造は棒の長ささえ変えれば、大きさも自由自在に変えることができ、少ない部材で安価に作ることができます。データはオープンソース化する予定なので、誰でもチャレンジできます。

 20151217TFシェルターパーツ 

_MG_6345パーツ2

まだまだ入り口の構造は考え中だとのことでしたが、展開の可能性を感じさせる力作ができました。

 

ゲストの越智さんからは「このドームをイベントで使えるようにしたらいいのでは?家以外で寝そべることが出来る場所はないので、楽しそう。授乳などで使えても便利なのではないか。」というアドバイスがありました。 

塩澤さんからは「自分で組み立てて遊べる遊具にするのもいい」とコメントをいただきました。

_MG_6370シェルターゲスト

森さんからは「手動で組み立てられれば、誰でも作れるようになるのではないか」とのこと。

 

メンバーからは立場の違う人と、一緒にアイデアを出しながら、プロジェクトを実施することが面白かったとの声も上がりました。実際、EVAを使用するというアイデアも、メンバーの一人から発案されましたが、その他のメンバーには思いもよらないことだったとのこと。一つのアイデアを全員で発展させる強みを大きく感じられるプロジェクトになったようです。

 

続いての発表は「バリアフリー」チーム。

_MG_6387バリアフリー全員

前回公共施設を「Parkization(公園化)」し、モジュール(プロダクトと環境の親和性を高める)」+「リデザイン、ハックされたプロダクト」+「バリアを公共化、意識化させるサイン」が融合したシステムを構築するというテーマを発表しましたが、そこからどう発展したのでしょうか。

 

まずは車いすを実際に使用しているメンバーの徳永さんよりバリアフリーの課題についてお話がありました。

 

様々な施設をバリアフリーにしても、結局は当事者が使わなければ意味がありません。例えばトイレはとてもパーソナルなスペースですが、一人で使えない人が多いそう。「お金をかけたバリアフリーのトイレでも結局使えない場合も多い。それぞれの障害にあわせ、個人的な課題を解決できるモノ、他のスペースでも使えるようなモノ、そんなモノが必要です。」

確かに、行政などが手掛ける大掛かりなバリアフリーは、様々な障害を持った人を対象にするため、かゆいところに手が届かないことも多いもの。一方でFABの強みは、障害のある個人の課題にフォーカスし、パーソナルなレベルで使いやすいものを作ることができるところです。

そこで開発を進めたのがモジュール。

 バリアフリー徳永

20151217バリアフリーフック

強度を上げれば体も支えられ、手すりがないところに手すりが作れます。またちょっとした物を置くことも可能。これがあれば、当事者が自分にあった方法で、バリアを解決することができるのではないでしょうか。

 

次に紹介されたのは、「メンタークラッチ」と名付けられた、サインとそれを感知するための杖(クラッチ)です。

20151217バリアフリー_メンタークラッチ1

床面にはられた、いくつかの色のサインに杖をかざせば、自動の音声案内が流れ、施設内での目的地や出入口などへのアクセス方法が聞こえます。将来的には小型化し、利用者の私物に取り付けられるようにしたいそうです。

 20151217メンタークラッチ2

 

チームメンバーからは、FABにとらわれすぎず、ちょっとした課題解決を目指し作業するのが大事だったこと。誰でも何にでも使えるものは、結局何にもならないので、色々な用途のものをその場でぱっと作れる状態を目指したとの説明がありました。ものづくりは楽しいだけではなく、色々なアイデアを合わせて作るのは大変だと気づいたとの声も。一方で価値観や考え方が違う中で、FABの共通のフォーマットで価値観や知識を共有できるのが面白かったそうです。

このチームはプロジェクト開始当初から、活発に議論を交わしてきただけあって、バリアフリー、ユニバーサルデザインといった、既にある概念を再度分解し、自分たちなりに深く理解してものづくりをすることができたようです。難題を解決するために生まれたアイデアが実現すれば、ニーズが生まれそうだと感じました。

客席に来ていた日本大学の細谷誠先生からは「問題解決の前に発見がある。そこからFABで具体的に捉えるのがいいですね。これまでのデザインや大企業の手法とは異なるやり方を考えるのが大事だと思います。」とのコメントをいただきました。

森さんからは「大きいテーマをスモールに考え、一般家庭などの色々なことで実践できるようにするのは、社会実験の本質だ。」とのご指摘をいただきました。

塩澤さんからは「シリアスなものを楽しくできないかと考え、エクスペリエンス(体験)をデザインするという観点で、その後どう反応するかを前面にだして検討するとより面白くなるのではないか」とアドバイスを頂きました。

原さんからは「身近な目線で作るのはとても大事。高齢者がこれからは3Dプリンターを利用して、自助具を作る時代が来るかもしれない。」とのコメントを頂きました。

越智さんからは「どうやって使うかイメージできないものは普及しないので、触れば機能が分かるような状態にするためにはどうするかを次のステップでは考えて欲しい。」とのコメントをいただきました。

 

続いての発表は治具チーム。

_MG_6443治具全員

彼らのテーマはデジタルファブリケーションの高次的利用の提案。

つまり、ただ新しい技術を使って満足するのではなく、さらに簡単にモノを作るための道具を提案することで、技術力に差があっても、簡単に質の高いものづくりが出来る状態を目指します。

前回は様々な治具のプロトタイプの紹介がありましたが、今回は具体的なアウトプットの提案がありました。

 

一つ目はパビリオン。

数格的、幾何学的なパターンを用い、治具を使ってディテールの精度を担保して制作します。

20151217jigパビリオン設計図 

20151217治具1

_MG_6571治具柵 

続いては椅子。

パーソナルな空間に馴染むものを作り、デジタルファブリケーションの柔軟性や実用性を表現します。

20151217治具椅子1

20151217治具椅子2

最後は欲しい治具を検索するものとしてのWikiです。

20151217治具wiki

治具をオープンソース化し、普及させるためのものとして機能する予定です。

 

パビリオン制作にあたっては、治具を使っての作業の精度が少しずれると、出来上がりが左右されるという課題を解決したいとのこと。さらに、今後はローカルな環境にあわせた治具作りも考えるとのことでした。

 

越智さんは「不器用な人向けのチートツールになるといい。」と感じたとのこと。

原さんからは「3Dプリンターは、製造業の分野では治具を作るために使われてきました。治具のパーソナル化は重要だ。」と指摘をいただきました。

塩澤さんからは「パビリオンは構造的に心配だが、部分模型の段階で丁寧に改善していくのがいい。」とアドバイスいただきました。

森さんからは「どんどんものづくりを深掘りしていこうというメッセージを発している。楽しみの追求のベクトルとして面白い。例えば治具開発自体が、ものづくりの楽しさを伝えるカリキュラムになり、FABの世界観に触れる学習機会になったらいいのではないか。」との提案がありました。

_MG_6459治具ゲスト 

 

チームメンバーも技術面で色々な課題に接し、気付きが多かったそう。

また、 ものづくりに関わる人にもジェネレーションギャップがあり、例えば若い世代は設計をするときにプログラミングするソフトを自然に使うとのこと。ソフトも治具のように機能しているのが面白いと感じたとのこと。また、素材により気温や湿度の影響を受けるので、治具の丁寧な調整が必要なのが課題だそうです。全体を通して、手作業とFABの掛け合いでものづくりの難題をどう解決していくかが、面白い実験だったそうです。

 

今回の発表を通して、全チームが自ら設定した課題に真剣に取り組み、手を動かすことで新たな課題を発見しながら、楽しく解決に取り組んでいたことが分かりました。やはり、一人ではないからこそ、身近な課題を解決できるようです。ものづくりを通したネットワークを活用し、他者とのぶつかり合いによって、新しいアイデアが生まれました。こうした試みを通して、ものづくりの試行錯誤のプロセスを大事にし、何がアイデアのブレイクスルーのきっかけになったかを、広く共有していきたいと改めて感じました。

今回の各プロジェクトはまだまだ発展していきます。身近な課題を、仲間と一緒に頭を捻って解決していくこと。TOKYO FABBERSはそのためのネットワークであり、知恵人の集まりでありたい、改めてそう感じました。

文:熊谷薫(TOKYO FABBERS事務局) 写真:高岡 弘

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