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REPORT

TOKYOFABBERSの活動

TOKYO FABBERS’ MEETING♯1「FABは通用するのか ファッション編」 レポート

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TOKYO FABBERS’ MEETING♯1 「FABは通用するのか ファッション編」

日時:2014年9月7日(土)18:00~20:00
会場:coromoza

ゲスト:オルガ(エトヴァス ボネゲ/デザイナー)http://www.etw-vngt.com/

 

TOKYO FABBERSでは、毎月一回のペースで、FABスペースの抱える課題や、利用者であるFABBERの疑問に答えるべく、トークイベントを開催しています。

第1回目はファッションをテーマに、ファッションとFABのそれぞれのジャンルのスペシャリストの出会いによって、新しいものづくりのあり方を探りました。

話題はファッション業界の課題から、ソフトウェアの現状について、マーケットとどうかかわるか、ツールの再発明の必要性などについて多岐にわたりました。最後にはファッションが今後は作る事の楽しさを最大化し、体験自体をデザインしないといけないのではないか、との問題提起もありました。今後ファッションとFABが出会うことにより、何が出来るのか、その糸口を探ることが出来たように思います。

(文:熊谷、写真:皆川 TOKYO FABBERS事務局)

 

 

「ファッション業界でFABがどう受け止められるか」

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FabCafe 川井:TOKYO FABBERS事業は今年の春からスタートしました。今回はFABとファッションについて全員でディスカッションするので、ぜひご参加ください。今回は会場にはIT業界の方からファッションまで、多岐にわたった方がいらしています。
今回の会場のcoromozaはファッションに特化したものづくりスペースです。まずはFabLab Shibuyaの井上さんからFABの概念について説明していただいてから、ファッション業界の現状について西田さんから紹介いただきます。

 

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FabLab Shibuya 井上:僕なりの捉え方ですが、FABはある意味、ものづくりの民主化と言えると思います。TOKYO FABBERSに参加しているようなオープンアクセスなもの作りの場所ができ、これまでは町工場などに限定されていたものづくりが解放されつつあると思います。例えば価格が下がる、コミュニティができるなどのことが起きています。これはYoutubeによって放送が民主化された時と似ています。こういったもの作りの流れを総じてFABと定義します。こういったもの作りのための文化、バックグラウンドが生まれた方がいいと思っています。

 

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coromoza 西田:ファッション業界でFABがどう受け止められるか、ということを考えています。ファッションは手で作られてきたところが大きい。民主化という観点でいえば、おばあちゃんの時代までさかのぼれば、手で作られていたもので、民主的だったと言えるかもしれない。今はブランドがある生産体系が価値あると思われています。社会的に見ればファッションの業界は右肩下がり。機材の老朽化などもある。ここに新しい価値観をいれて民主化するのが大事だと思っています。
FABには色々な機材があり、レーザーカッターや3Dプリンターなどそろってきている。一方でファッションの世界ではまだミシンとプリンターしか使ってない。データから作って、アウトプットの服を作る状況ではない。例えばCADのようなものを使い、3Dプリントのようなもので服を作るものは一般的にはまだない。あることはあるけれど、一般の人は触れられず、ハードルが高いファッション業界は、FABの流れの観点から見れば、60-70年前のおばあちゃんの洋裁で止まっている。
オルガさんはデータを作成してからファッションアイテムを作っているので、お話を聞きたいと思いお呼びしました。

 

西田:ファションの業界は春夏・秋冬の二回のシーズンでビジネスをやっています。お金の話をすれば、この春夏のために服を作ると次の春夏にお金がはいることになります。現金化されるのが遅い。この状態だと若者が参入しようとするか疑問です。産業としてハードルが高いのではないでしょうか。FABがはいれば、もっとファッション業界が面白くなると思い、coromozaをオープンしました。この辺りについて、もっとアイデアをもらえたらと思っています。

 

Makers’ Base 松田:今回の開催にいたったのは、西田さんが強烈な課題感を抱えていたからです。

 

西田:一番課題感を抱えているのは、ファッションに対して50年前から同じ価値観で教育されている。大きな流れに対して、変えられるものがアウトプットとしてないし、道具がないと思います。

 

松田:今日の参加者の中に、coromozaのユーザーさんはいますか?

 

参加者 WEB系のエンジニア:coromozaユーザーですが、電源とネットワークをかりているという感じです。
今世界では、デバイスを身につけて、ネットに情報をあげるということがおき始めている。例えば心拍数をはかって、データをあげると、医者から連絡がきてそろそろ病院にいくタイミングだ、などといわれる。これからはソフトウェアだけではなく、ハードウェアを作る時代になるのではと考えています。身につけるものはファッションですね。だから勉強したいと思っています。

 

松田:ファッションを作る側の人はいますか?

 

ファッション系学生:数日前からレーザーカッターを利用して、学生用のコンテストに応募しするために、レーザーを使ったデザインを作りたくてここを利用した。服飾専門学生や大学に目を向けて情報発信していただければ学生の利用は増えると思います。まだFABの技術があると伝わっていないと思います。

 

川井:利用者のデジタルツール(CAD)とアナログなミシンの使われる割合はどうなっています?

 

西田:きれいにわかれています。5対5という感じです。ミシンを使う人は、レーザーカッターやプリンターは使わないですね。

 

川井:用途がわかれているんですね?ここからファッションのつくる工程について共有します。

 

西田:まずはサンヨーさんの映像を見てください。

 

 

西田:SANYOトレンチコートを作る過程です。実は大事なものが抜けています。制作のプロセスから、デザインが抜けていますが。

このように簡単に服はできません。サンプル制作には時間がかかりますし、その過程は専門のサンプルやさんがやります。3Dプリンターのように、気軽にデータを作ればという状況ではありません。また、個別の工程では専用のミシンで色々なパーツを作っているという感じです。

 

松田:この映像はSANYO専用の工場なんですか?他の会社からも仕事を受けているんでしょうか。例えばぼくが服を作りたかったら、お願いすれば作れるものですか?

 

西田:ロットが何百枚かあれば可能です。

 

松田:ロットの問題なんですね?

 

川井:例えば個人デザイナーがコレクションレベルで国内で作るようなことはありますか?100-200枚単位くらいで。

 

西田:100-200なら国内で作りますね。数が少なくて品質の高いものなら国内。ある程度量産で質もそこそこなら国外。品質がものすごく高いならまた国内にもどる。例えばバーバリーを生産している工場についてですが、日本産のものが一番品質がいいそうです。そこにはイギリスから技術を盗みにきたこともあるそうです。

 

 

「デザイナーの視点から:ソフトウェア紹介」

川井:映像を見て、デザインの過程が抜け落ちているいうお話でしたが、ここでデザイナーのオルガさんから活動の紹介をお願いします。

 

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デザイナー オルガ:私も製造工程は普通に今見た通りのものをやっています。私の活動のどこがちがうかをこれから見てもらいたいと思います。

主に三つあります。「iPM=illustrator Pattern Making system」「LookstailorX」「Digital Fashion show」です。

「iPM」はパターンメイキングに特化したソフトです。これはCADにあたるものですが、CADはwindows向けのみなので、あまりデザイナーは使わないようです。こちらを使うとmacベースでパターンがひけて、縫い代もつけることができます。パタンナーと同じソフトを使っていれば、パターンのどこに、どういうプリントをのせたいかなど細かく相談できます。

「LookStailorX」は立体裁断がデザインできます。どこにどういうふくらみが欲しいかなど、粘土のように作れます。その3次元のデータからを2次元に展開し、パターンにすることができます。

3Dデータもつくれて、パターン、平面図もつくれるということですね。夢のツールみたいですが、まだそうではないところもあります。でもとても期待しているソフトウェアです。
CGデータは三角形の形を積み上げて3Dにしています。ポリゴンをイメージしてください。ところが3Dデータ上で整合性がなくなる場合があります。ひずみが発生してしまいます。このソフトウェアの課題はひずみを解決することだと思います。
ひずみがうまれるので、あえてそれがどうなるかを実験してデザインに取り込んだりしてみました。Happy Mistakeという感じです。

 

川井:アプリの癖を楽しんだんですね。

 

オルガ:バグを楽しんだ感じですね。

例えばFDK, DS bodyというソフトウェアがあります。
架空で縫合情報を伝えることができます。シミュレーションをしてみて、垂れ感とか、生地の特性や縫合情報を灰色の人の上にのせて伝えています。ところがデータが衝突するんです。ばーんって。ドレープの山はきれいにならないといけない。現実は山同士はつきぬけたりしません。ところが架空のデータだとおきてしまいます。その修正が大変です。

 

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松田:使うのと使わないのだと、どちらの方が時間が短縮されるんですか?

 

オルガ:今のパソコンの処理速度だとわからないですけど。新しいツールは楽しいですけど実際時間やコストを短縮するかはNOです。パタンナーに頼んだほうが早いですね。

 

川井:コスト的にもそうですか?

 

オルガ:パタンナーの方が安いです。エンターテイメントやプレゼンテーションとしては新しいツールは楽しいですけどね。

「Body Scanning system」は体のかたちをスキャンできます。昔のものなので裸の状態でスキャンをしているが、多分今は服をきていてもスキャン可能だと思います。

FDKデータを3Dプリンターでそのまま出力することもできるけれど、コストが高いんです。大きさの限界もある。コレクションで使ってるデザイナーもいました。プレゼンテーションとしては3Dプリンターは最高にかっこいいんですけどね。

「Digital Fashion Show」では先ほどの灰色の人のモデルが歩きます。よく見るとデータが衝突しています。

 

川井:ここが問題だって分かった場合、戻ってデータ修正をしますか?

 

オルガ:戻ってはしないですね。パタンナーの方が修正するのも早いので。レンダリングや3Dプリンター技術がかわったり、コストがかわれば、夢のようなことがおきるかも。そこに期待しています。また、生地の動きをデータ化する実験があります。皮の動きとかも表現できるんですが、実は何年も前からある技術です。でも一般化されていません。使うには専門知識がいるので誰でもできるわけではないんです。

 

 

「ファッションにおけるツールの現状」

川井:これまではファッション業界の遅れは、機械やソフトがないのかなと思っていたが、それは増えてきているんですね。ファッション業界の3Dプリンタといわれているものとして、ホールガーメントというものもありますね。実用にはまだ遠いのかなと思いますが。

 

西田:ホールガーメントは織り機ですね。実はテキスタイルには編みと織りがある。織りは縦糸と横糸で編むもので四角い布です。編みはニットです。それを自動的に使えるようにして、発展させたものがホールガーメントです。

 

川井:編み物は今かなり変化していて、セーターのようなものだけではないんですよね。

 

西田:ホールガーメンとはもともとは軍手を作っていたメーカーが開発したものです。自動的に軍手を作る機械を発展させたのが、ホールガーメントです。開発に関わられた方がいらしてるのでお話をお伺いしたいです。

 

参加者 三衣:私はホールガーメンとの3Dシステムに開発、ソフト開発に携わってきました。セーターっぽくないものも作れます。ワンピース、洋服的なものを無縫製で作ることができるので、言葉にすると夢のような機械ですね。

 

川井:実際にはどういうもので、使うためにはどういったスキルがいりますか?

 

三衣:熟練したデータを組む人が必要です。簡単なセーターなら、寸法をいれれば、編むところまでいける。それでも編みやすい糸でとか条件つきです。編み機を設定する職人が必要です。

 

川井:データを組む職人がいるんですか?

 

三位:そうです。ここは編んでくださいとか、箇所箇所で指令を出していくデータを組むことが必要です。

 

川井:デザインデータを変換するだけでなく、指示データも別途いるんですか?

 

松田:これが一般化されても、家庭に入ったとしてもほとんどの人は使えないんですか?

 

参加者:今の段階では現実的ではないですね。

 

参加者:プロでも使いこなせないところがあるよね。

 

川井:ハードとしてハードルが高いんですか?

 

三位:そうですね。無縫製でも、制限が多い。前身頃、重なりのあるものは編めないです。

 

川井:とはいえ無縫製で服を作れるという、第一歩としては画期的なんですよね。

 

三位:そうですね。機械で人の手を介さず服を作るという点に関しては画期的と言われています。

 

川井:わかりました。服を作るということについてお話を伺っていましたが、次はファッション業界の課題について聞きたいので、作り手の細分化についてなどお聞かせください。

 

「ファッション業界の課題:細分化」

参加者 杉上:startup projectの杉上です。僕も技術系なので、makersの発想がとてもすきです。最近、作り手が細分化されていると新しい技術が普及しにくいという話を聞きました。例えば、テキスタイルをインクジェットプリンターで染める技術は随分前からあって、デザイナーは使いたかったのに、それを製造する業者はスクリーン印刷の設備と技術を捨てるのに抵抗があって導入せず、なかなか消費者の所まで届かなかった。印刷業者がもっと苦しくなって新技術を取り入れざるを得なくなって初めて導入が進み、消費者まで届いた。

 

川井:FABに詳しいのは建築出身の人が多いですね。建築領域では普及しているとは言われていますが、FABのおかげで作るプロセスや役割がかわったことはありますか?

 

岩岡:職能的な役割分担としては、建築も分業しています。設計、構造計算、環境、工務店など。間をつなぐのはソフトウェアの力が大きい。かつてはCADというものがありましたが、次第に一つの大きなプラットフォームになりつつあります。

 

川井:CADオペレーターという仕事がありましたよね。かつては設計する人がいて、おこすオペレータがいたけれど、今は違うんですか?

 

岩岡:僕が建築設計をしていた6年前には、まだCADオペレーターはいました。でも、減ってきていましたね。むしろCADが出来る人が建築デザイナーに転身していっていました。

 

川井:ファッションではパタンナーとデザイナーの関わりってどうですか?

 

オルガ:夫婦みたいなもので、いないとだめです。デザイナーの癖をくみとれる人でないとだめ。デザイン性の強いものを作る場合は特に細かい設定が必要です。

 

川井:客席にデザイナーのユイマナカザトさんに来ていただいています。デザインについてぜひ紹介してください。

 

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デザイナー ユイマ:ユイマナカザトです。(http://www.yuimanakazato.com/)ストラタシス(http://www.stratasys.co.jp/)と協力し実験的なプロジェクトをやってきました。今年からエンドユーザー向けの商品化ができました。もともとはベルギーのアントワープに留学していて、2009年から日本に戻ってきました。衣装とファッションデザイン両方をやっています。衣装では実験的な素材など、衣料には不向きなものも活用し、プロダクトへ落とし込んでいます。

 

デザイナー 孫:デザイナーの孫です。僕が思うに作るソフトは増えていますが、データを作れる人がいないのです。僕は、これまでファッションデザインをやってきた素養をふまえつつ3Dプリンターにおけるパタンナーのような役割をしています。これまでの活動としてはアンリアレッジと未来のレクサスを作ろうという企画をやりました。ピクセルのボックス版をつくったりもしました。僕は三次元的に整合性のとれたデザインを作っています。デザイナーの意図を解釈しながらデータを作るのが仕事です。

 

ユイマ:1年前に発表したデザインを紹介します。架空のバスケットボールを考え、ユニフォームをデザインしました。ここでの架空のバスケットコートは広かったり、起伏があったりします。また、洋服とともにこのデータも展示しました。ここでは柔らかいグミのような素材を使ってみたりもしています。彩色した3Dデータを出力できるCONNEX3 stratasysも使っています。

 

ユイマ:作り方としては、服は通常のとおりパタンナーに作ってもらい、加えてそこに3Dデータがつくと伝えています。メインはスケッチ中心ですね。

 

川井:その方が伝えやすいんですか?

 

ユイマ:世界観を共有して作っていくのがいいので、アナログな手法のほうがやりやすいですね。

 

オルガ:ところで3Dプリンターは耐久性あまりないですよね?新しく出るプロダクトははんぱなくヤバい感じですか?

 

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ユイマ:確かに耐久性のこともあり、時間がかかりました。でも作品はいい感じです。透明な樹脂に複雑な形がはいっています。3Dデータでしかできないものですが、表面は平らなので、手作業しやすい。

 

川井:孫さんは普通の服のパターンもできるんですか?

 

孫:本を読んだ程度なので、あまりできないです。

 

ユイマ:このプロダクトは注文いただいてから1週間でお客さまのもとへ届きます。海外にデータを送って、分散して出力できる仕組みなので、在庫を持たなくてもいいんです。

川井:それでは、これまでは現状をシェアしたので、休憩後は質疑応答を行います。

 

~休憩~

 

「FABとファッションマーケット」

川井:前半はファッションの中でどういうソフトウェア、ハードウェアが出てきているか、そこに対してデザイナーがどうアプローチしているかについて伺いました。後半はファッションをどうマーケットと絡めるか、FABがどう貢献できるかについて具体的な話をしていきたいと思います。3Dプリンターをファッションにとりいれたという話を聞きましたが、マーケット視点で新宿伊勢丹の青木さんから、新しい試みについてなどお話を聞かせてください。

 

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新宿伊勢丹 青木:私は新宿伊勢丹で婦人服のバイヤーをしています。リスタイルカルチャーと題してepsonプリンター、レーザーカッターをお客さんのオーダー用に始めて入れました。今は販売のスタッフがオペレーターやっている。12日で60件くらいのオーダーをいただいてます。ファッションの限界は感じつつあるので、7割ファッションに軸足を置きつつ、3割は伝統的な技術や新しいデジタルをとりいれて、両軸でとらえたいと思ってやっています。今レーザーカッターでやっているのは旭川の木工屋ウッドの名刺入れに名前いれをしたり。熱海の建材やとウッドプレートにキャラクターを彫ったり。和歌山のジャージに結んで、スウェットTシャツトーとバックにUVプリンターでプリントを入れたりしています。

 

川井:どちらのニーズがありますか?

 

青木:Tシャツやバッグ向けのプリンターの需要が多いかと思いきや、意外とどこでもできるし、もっと質のいいものが伊勢丹にあるので、目新しさからレーザーのほうが稼働しています。ところで、うちのニーズの3割はデイリーギフトです。伊勢丹の顧客はお金にも時間にも余裕がある人が多いので、どちらかといえば自分のものを我れ先にオーダーするというより、友達へのギフトニーズのほうがありますね。

 

松田:お客さんは、もともとレーザーカッターを知っていたんですか?

 

青木:結構、そういう技術があるということは知っていますが、レーザーカッターを初めてみたという人もいます。

 

川井:レーザーカッターとファッションが結びついているイメージはないですよね。それなのにファッションのフロアに、工業っぽいものを置いている。ファッション系の機材ではなく、なぜレーザーカッターやUVプリンターを選んだんですか?

 

青木:どうしてもファッションの限界、頭打ち感を感じています。売り上げはさておき、伊勢丹で面白いことを発信し、驚きと発見を提供したい。いま顧客のニーズは究極のロングテール化しています。そしてファッションはシンプル化しています。昔はcancamなど女性ファッション雑誌で宣伝すればものがうれていた。今は横を広げていきたい。私だけの一点ものをほしがるお客さんが増えてきたので。今はプロセスリッチになってきている。昔はルイヴィトン持ってれば安心だったし、世界の中で同質化していました。今は一点ものやオーダーに向かっています。ボディも産地で作ってるもの、表現しながら、想いがあったり、いい技術やもの作りが入っているというメッセージを伝えないとお客様に商品を買っていただけない時代になったと思っています。

 

「ミシンの再発明が必要:洋服作りのハードルを取り除くためには?」

川井:JUKIさんはミシンを作っていらっしゃいますね。デジタルムーヴメントが起き、カスタマイズの流れに対して、社内的に取り組みはありますか?

 

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JUKI 松本:私たちはミシンメーカーですが、FABとどう結びつけていくかずっと考えていました。ファッションの衰退は、ミシンメーカーも感じています。今後ミシンメーカーとしてどこでのばしていくか。残念ながらノンアパレルに可能性があると思っています。車のシートなどの工業系が伸びていくという認識です。工業ミシンは量産のための機械なので、日本での売り上げは減り、海外で売れています。特に高価なものより、安価なもの。一方でJUKIは海外で高いものを販売するメーカーです。一点ものを作る流れとミシンをどうつなぐか、難しい課題だと思います。

 

西田:単純に言えば、ミシンの再発明が必要だと思っていますが、誰も手を付けていない。逆に言えば、ホールガーメントが一般化しないのは、発明はあるけれど、技術を特許にして止まっているから。レーザーカッターや、3Dプリンターの特許はパビリックドメインになっています。そこで価格が落ちてきて、ものづくりの背景をかえているということがある。ミシンも、もっとありかたを使いやすくしていかないといけない。ニーズはあると思います。正直、デザイナーを目指す人からより、洋裁教室のほうが人気です。一般の人の作るニーズは非常にあるが、ミシンの使い方が分からなくて高いから、買えない。だからミシンの値段を安くしてハードルを低くしたら人気がでるはずです。潜在的なニーズはあるので、民主化が起きるフィールドになるのでは。

 

松本:今どういう年齢層の人がミシンを買うのでしょうか?一般家庭はどの年代層が買うのかといえば若い層ではない。年金生活者や50-60代の時間とお金の余裕がある人が買っています。今後はミシンメーカーとしては若い人が入りやすいようにしないといけないと思っています。例えば伊勢丹のジーンズコーナーとのコラボして一点ものを作ります。

 

川井:Makers’ Baseでのミシンの使われ方はどうですか?

 

松田:皆さん普通に使ってますよ。20代後半~30代中盤の女性が多い。ミシン単体だけではは使わなそうだから、シルクスクリーンを隣に置いて、出来たものをミシンで縫ったり。真隣にレーザーカッターを置いてます。言葉を選ばず言えば、ミシンだけだとあまり面白くないので、組み合わせで面白く使ってもらいたい。

 

井上:FabLabShibuyaのユーザーはデジタル刺繍をしたい人が多いです。どちらかというとグリッチニット(http://www.glitchknit.jp/)、編み機を改造したプロジェクトに興味がある人。FABないし、どうやって作るかという話がハードソフトについて話されているが、これは道具を作ろうというプロジェクトです。会場にはデジタルネイティブ世代はいないかもしれないが、彼らはマシンの中は改造しない。例えばパソコンの改造はしないですよね。もともとのアナログのマシンは改造していたはず。旋盤とかそうですよね。ない道具は作ってしまうのが本来のものづくりのあり方です。ところが今のもの作りは、デジタルツール、ソフトがあり、それをどう使うかに終始しがち。このマシンを何万台も作ればいいということではないが、ある種、もの作りのアプローチとして、既存の機械を使うだけではなく、どうそこに我々FABの目線をいれるかということだと思います。ミシンにも何かを足せばこういう編みができるようになるとか、新しい軸をいれられればいいかも。

 

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松田:若年層がミシンに触る機会は減っていますか?

 

松本:はい。ゆとり世代は学校でも触っていません。実は全く触ったことない年齢層がいるんです。そういう人がミシンを使わなくならないようにしたいですね。

 

西田:coromozaはミシンユーザーに関しては年齢層高いと想定していたが、実は20代がほとんど。もっと上の人はほとんどいません。

 

松本:一番驚いたのはそこです。

 

西田:ミシンに触りたいのに、ハードルがあるので取り除いてあげればいいと思います。例えば小学校の時の記憶で下糸がからむとかがある。そこがクリアになるだけでもいい。実際は自動化されていたりするのに。一方でファッションデザイナーさんと話すと無縫製の話になる。全体としてミシンの再定義がファッションのなかで重要になってくると思います。縫うのはめんどくさいと思われているからです。全てのポイントはミシンにあるのではないかと思っています。

 

松本:確かに最終工程でミシンにたどり着きますね。

 

松田:JUKIさんにお願いしないと!

 

西田:縫製の一手間はとても大事です。例えば高級感を出すためなどに、いらないところに縫製をいれたりしますね。そこがポイントだと思います。

 

松本:カーシートもそうです。見る方は見ています。

 

「クラウドファンディング」

川井:FABが広まった理由として民主化、誰でも作ることに参加できるようになったことがあります。海外では、プロトタイプしてキックスターターなどでファンディングして、量産化、マニュファクチャリングして市場を作ることが一般化してきている。ファッションは売るという側面ではどうでしょうか?仕組みとしてクラウドファンディングなどが進んでないのかなと思いますが、どうですか?

 

西田:実際、ファッション系のクラウドファンディングはあまりないですね。あっても機能的なものの提案に対してですね。ヌケメくんのグリッチニットの機械の開発とかですね。

 

井上:そうですね。あのプロジェクトは機械をオープンアクセスにするための資金集めで機械を量産するためではありません。

 

西田:そもそもの話をすると、アパレルの産業構造と販売の基礎は百貨店が作りました。百貨店ビジネスのための、プレゼンとしてのショーが、ファッションショーになった。それが半年前のサイクルでコレクションを作ってきました。なぜかといえば買い取り販売だったからです。リスクヘッジのために、オーダーをとる必要がありました。これまではファッション業界は買い取りだったから成立していたが、今は委託販売が増え、消化販売になってきています。つまり半年前に作るメリットがなくなってきています。そのため、在庫はデザイナーが抱える。プロダクト業界に目を向ければ、資金集めから販売に向かう新しいプロセスが生まれている。ファッションはこのようにリスクを抱えているため、このままではビジネスが成り立つか疑問です。FABの新しい手法をとりいれていくのがいいと思っています。

 

川井:ファッションの学生としては、どうやって作品を市場にだそうとしていますか?

 

参加者 学生:基本的には自分のブランドを立ち上げたいです。大半の人はある程度のアパレル企業に入って、後から考えようとしている。自分で動こうという生徒や、若いうちから挑戦しようという人が少ないですね。

 

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西田:だからハードルを下げたい。

 

松田:就職とブランドを立ち上げるのは別と考えているんですか?ブランドを立ち上げて仕事にしたいとは思ってないんですか?

 

学生:おそらく違うと思います。僕は立ち上げたいと考えているのでここにいますが、多くの学生はまずは就職を考えていると思います。

 

川井:オルガさんはどういう過程をへてデザイナーになったんですか?

 

オルガ:色々な問題があるこんな時代にリスクを背負って、どういう気持ちでやりたいことをやりたいと思うのか、相当きもが座ってないといけないですよね。とりあえず就職もありだと思います。パーソナライゼーションとか。就職したら副業禁止も多いので、難しいですね。まあ、いいじゃないですか。

 

川井:自分のデザインを作って、クラウドファンディングしようと思ったことありますか?オルガさん、ユイマさんは?

 

ユイマ:可能性は感じていますが、まだこれからですね。

 

川井:3Dプリンターは、商品化の前にほぼ完成品を見せ、マーケティングできますよね?

 

ユイマ:CGは画面でみると実物とかわらないので、リスクの少ないもの作りはできますね。

 

川井:服だと難しいでしょうか?アクセサリーならありえそうですが。

 

オルガ:私はファンディングをやりたいなと思ってました。

 

川井:どこかに課題があるんでしょうか?

 

オルガ:クラウドファンディングをやるなら、投資者に具体的なメリットを提示しないといけないと思っています。そこが形にできていない。やりたい気持ちはあるので、アイデアを練ってみたら楽しいと思います。

 

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杉上:僕たちはファッションアイテムをクラウドファンディングで作ろうとしています。電子ペーパーという素材、電気で色をかえられる布地を使ってファッションをデジタル化したいと思っています。色や柄が変わる時計FES Watchを明日から出品します。
コラボをしながらノウハウをためて、試作品を作っていく。こういうものができるとクラウドに出してみたいMakuakeというサイバーエージェントのクラウドファンディングを使います。

 

松田:なぜそこを選んだんですか?

 

杉上:サイバーエージェントは一緒にプロモーションしてくれるので。我々はこの素材と使いこなしの技術を色々なクリエイターに提供して彼らと一緒に面白いモノを創って行きたい。そして、彼らが作ったモノを消費者に届けるまでの距離を縮めるようなサポートもしていきたいと思っています。例えば、一緒にクラウドファンディングに出すとか。

 

川井:プロダクトも建築もマテリアルによってシーンはかわるので、可能性が広がりますね。ファッションでもそうですね。

3Dプリンターでマルチマテリアル、フルカラーで固いものも柔らかいものも出せるものもあります。最終製品に近いものが出せる。

 

「質疑応答」

参加者:FABで量産化した成功事例を聞きたい。なぜFABではできて、ファッションではできないのでしょうか。

 

井上:大量生産、大量消費のモデルは崩壊していますよね。FABはその流れと整合性がとれている。ぼくらは適量生産、適量消費をしている。リスク少なく生産し、きちんと欲しい人に届けるという考え方です。例えばFabLab Shibuyaにはobjet23というプリンターがある。1センチのボタンを作るとすれば、一回で200個作れる。1個あたり23秒かかります。最初はいろいろなパターンは作り、次は売れ筋を沢山つくるなど、調整が利く。作り手のリスクを減らすことができます。

 

参加者:FABで生計を立てている人はいますか?

 

川井:FABをどうとらえるかという問題もありますが、パテントがきれた商品を自分たちで研究開発して、安く手に入りやすくするということはあります。一つの成功例として10000個市場のプロトタイピングをやり、そこに様々なFABの要素ををいれ、クラウドファンディングで会社を起業するということはあります。本当に新しい成功例としてはテスラという車メーカーがありますが、IT技術を持った人がネットワークとあたらしい技術を組み合わせ、民主化して市場を独占したというようなこともあります。

 

井上:一つの例ですが、来年以降にモジュール式携帯のProject Araが始まります。(http://www.projectara.com/)スマートフォンの壊れた部分のみ取り替えることができるようになります。部分ごとにカスタマイズして、欲しいものを手に入れられるようになります。またサードパーティー性あるモジュールメーカーでてくるかもしれません。これは大きなマーケットになるかもしれません。

 

参加者:キックスターター(https://www.kickstarter.com/)などではプレミアムジーンズが売れたりしますが、日本は普通にやってももっと安く売れるというのもあります。アメリカとは違い、日本のアパレルは特殊です。アメリカはオープンマインドですが、日本のものとキックスターターはマージンも違いますよね。アメリカだと5-6パーセントのところ日本は20パーセントかかるとか。こういった日米のマインドの違いはどう考えていますか?

 

TOKYO FABBERS 平本:ローカライズはうまく出来てないとはよく聞きますね。共通した問題意識の中で世界中で次のステップに向けて取り組んでいるという状況です。この中でどう活躍できるかというのがキモなのかなと思います。

 

川井:グローバルの事例の成功例はありますか?FabCafeは台湾とバルセロナにあり、バンコクやクウェートにも出来る予定です。戦略的に海外からのネットワーク構築をやっています。台湾でもTOKYO FABBERSというビジネスモデルもやっている。同時多発的にムーブメントを起こそうとしていて、広がりを局地的ではないものにしようとしています。それぞれのローカルでお金はでます。とはいえローカルに主眼をおきすぎると、ガラパゴス化しがちなので、マインドセットとして開いていこうとしています。

 

「ファッションも作る楽しみや体験を最大化しないといけない」

ロフトワーク 小原:FABがどういうものを価値として提供しているのでしょうか?ファッションは買うものだけではなく、作る楽しみとか、体験を作らないといけないと思います。僕自身はファッションは更新できるのか会議をやっています。Theater ProductsのTheater Yoursというものなどだと、簡単に服を作ることができます。デザイナーやパタンナーがいないとだめということもありつつ、作りたくなるスイッチを押すような仕組みもできています。西田さんはそこはどうしようとしていますか?

 

西田:自分がcoromozaを始めるきっかけとしてTHEATRE, yours(http://theatreyours.tumblr.com/)はすごく気にしています。僕はもともと売る側の人間だったし、theatre productsの商品を販売していた。年々、デザイナーズブランドは売れなくなってきている。大阪にはデザインイーストというイベントがありますが、そこで最初のTHEATRE, yoursのワークショップがあって、参加しました。例えば料理には色々な楽しみがある。高級料理をレストランで食べたり、家で作って食べたり。ファッションには家で作って食べる部分がない。THEATRE, yoursはそこをやりたいと聞きました。クリエイティブ・コモンズの型紙を使ったTHEATRE, yoursのプロジェクトはとても大事だと思います。
洋裁教室を始めたきっかけは、こういったオープンソースを誰もが利用できるようにしたいからです。FABは作り手の喜びを最大の価値としている。型紙を共有するなどが消化できれば、もっとcoromozaからFABを発信できると思っていますが、まだそこまでの専門的な知識がない。型紙をオープンにして誰でも作れるようにする準備をしている。でも次に手順、縫製、ミシンの使い方が問題になる。そこが難しい。

 

小原:FABは出力までサポートする人がいたりする。ファッションにはどういう支援が必要で、そこで何ができるのでしょうか。どうすれば使いやすくなるのでしょうか。

 

川井:FABの技術がある人が、ファッションに手を貸したりすればいいんでしょうか?岩岡くん、具体例あればお願いします。

 

岩岡:ニーズが多様化していると思うので、マーケットはあると思います。疑似オーダーメードなどのワークショプなどをするとか。位置づけが大事だと思う。

 

川井:会場にいる平本さおりさんはもの作り女子ですよね。服は作りますか?

 

参加者 平本さおり:服を作るという技術はないんです。FAB的なDIWO(Do It With Others)なら自分的にはできるかもしれないと思っています。例えば自分のウェディングドレスを作ったんですが、自分で作るとストーリーがある。そこまで出来ないかなと思う。自分なりに考えて作る手助けをしてもらう。個人のワークショップをやったり、パターンの書き方を学んだりしていけばいい。プロはプロで、服は買うものという意識が強い。作るところをワークショップで取り入れるのはやっていきたいですね。

 

川井:ワークショップへの取り組み方として、実はMakers’ BaseとFabCafeと位置づけは違いますよね。ワークショップ成果物について考えを聞かせてください。

 

松田:うちではスカートを作るワークショップをやっています。もの作り拠点として中途半端な体験を売ってはいけない。使いたい、着たいものを作れるようにして、作るを買ってもらう。今までと違うアウトプットにしよう。ウェブで発信してどうこうはかわらない。地道に一人一人向かいあって、作っていくといい。どこかで臨界点をこえて、ものは買うのではなく、作るになればいいと思っています。

 

川井:FabCafeのワークショップは機材や場所の制約があるので、体験を売るのがメインです。今後は欲しくなるクオリティーのものを作るということもやってみたいと思っています。

 

西田:洋裁教室は体験を売ることに近いかもしれません。例えば業界的にコスチュームとファッションがあり、そこには違いがある。どちらかといえば体験を売るのはコスチュームの世界に近い。着れればい、というレベル。あくまでも袖が通せればいい。そうならないようにしたい。洋裁教室も服として成立するところをゴールにしたいと思っています。

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