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INTERVIEW

ものづくりを通じて人と人をつなぎ、さまざまな課題を発見し解決する手助けをするFABBER達の活躍とライフスタイルをご紹介

FABBERS’ INTERVIEW Vol.04

FABスペースは、居心地のいい“サードプレイス”。 人とつながり、人を喜ばせるものづくりを これからも楽しんでいきたい。

  • 織田公康さん(48歳)

ものづくりをしたい。けど、できない状況に。
そんな時、FABスペースに出会った。

「僕にとって、Makers’ BaseをはじめとするFABスペースはいわゆる“サードプレイス”なんです。特に通う日を決めているわけではなく、週末とか仕事帰りとか行けそうな時にフラッと立ち寄って、何かを作ったり、仲間とあれこれおしゃべりをしたり、ものづくりイベントに参加したりという利用の仕方をしています。まさに、自宅でも職場でもない、心地よく時間を過ごせる第三の居場所なんですよね。だって、こんなにものづくりを心から楽しめる場所って他にないですからね」

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ものづくりを愛してやまない織田さんは、現在はメーカーに勤務。物心ついた頃から、さまざまなものを作ってきたと言います。

「小さな頃は、スパイが七つ道具を入れるバッグに強い憧れがあって、空き箱でバッグを作って喜んでいたりしましたね。小学生になると、建築現場の大工さんに木っ端をもらって釘を打ち込んでちょっとしたものを作ったり、粘土細工をしたり、ハンダを溶かしてベーゴマを作ったり、電子工作をしたり…。中学校では、アクリルロボットと独学で始めたプログラミングにハマっていました。とにかくなんだかんだとずっと作り続けていましたね。何なのでしょうか。自分のことながら不思議ですね。もしかすると、ネジを見るとバラしたくなるとか、そういう特殊な反応パターンが生物的な仕組みとして僕の中に組み込まれているのかもしれませんね(笑)」

織田さんは、高校に入るとますます勉強そっちのけでプログラミングにのめり込むようになります。その結果、あるプログラミングコンテストで受賞します。

「グランプリに次ぐ優秀賞をいただきまして、その後、僕が開発したゲームソフトが商品化するという話にまで発展したんです。それはもう頑張りましたよ。たくさんの時間と労力と情熱をかけて、学校のテスト以上に全力で取り組みました(笑)でも、商品化には至らなかったんです。量産する直前まで進んでいたのに、ソフトウェア会社の社内会議でいきなりボツになってしまって…。この時は、本当にショックでしたね。そして高校生にして悟ったんです。『地道に働いた方がいいな』って。大学に進むと、またフリーソフトで音楽のサウンドプレイヤーやグラフィック表示ソフトを作ったりしていましたけどね。懲りないですね(笑)」

そして、大学卒業後はメーカーに就職。長年にわたってコンピュータ開発に携わっていました。

「ずっとコンピュータソフトウェアを作っていたのですが、時代の流れが変化して、自社開発では採算が合わなくなってしまって。そこで僕に求められる役割も変化していき、仕事ではものづくりをしなくなってしまったんですね。ずっと作り続けてきた僕が、ものづくりをしない環境に置かれてしまった。そうなると寂しくて寂しくて…。そんな心境のところにFABスペースの存在を知って、実際に足を運んでみたらこんなにもワクワクする設備があって、同じようにものづくりを愛する仲間がいて。これはもう、たまりませんでしたね」

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Makers’ Baseのイベント用に作った作品。5cm×5cm×5cmのカーボン製のキューブの中にコマを配置。コマが回転する力を利用して角で自立する。

FABで手作りしたプレゼントを、
サプライズで贈る楽しさ。

「FABスペースで僕が作っているものはいろいろとありますが、たとえばちょっとした手作りのプレゼントもその一つですね。僕は昔から『プレゼント体質』なんですが、その記憶は古く、小学生の時のプレゼント交換会にまでさかのぼります。ウルトラマンタロウの変身バッジを積層したボール紙とビー玉で作って持って行ったんです。色も塗ってかなりキチンと仕上げた記憶があるんですが、それに当たった同級生はすごく喜んでいましたね。そんな原体験があって、大人になった今でもサプライズで人にオリジナルのプレゼントを差し上げているんです。半ば強制的に(笑)」

頭と手を動かして手間ひまかけて作ったものを人に贈る。だから、日常的にものづくりはしているものの、織田さんの手元には作品はあまり残っていないそうです。

「作品を自分で持つことにはそれほど興味がないんです。それよりも、作ったものを手渡した時にその人の反応を見るのが楽しいんですよね。最近で一番喜ばれたのは、よくお邪魔している渋谷のFABスペース『&Fab』の一周年記念に贈ったプレゼントですね。ここは無印良品とLOFTが一緒にやっているデジタル加工工房で、購入した商品をカスタマイズできるんです。僕は、一周年記念のご挨拶に伺いつつ、ある人の誕生日プレゼントを作りたいと話をして加工用のデータをスタッフの方にお渡ししたんです。データの中身は『&Fabの皆さん、いつもありがとう』というメッセージが書かれた表彰状になっていて、贈り先は特定の一人ではなく加工スタッフのみなさん宛て。加工後スタッフの方から手渡され、そのまま『いつもありがとうございます。これをどうぞ』と渡し返しました。感激していただけたようで、こちらも嬉しかったです」

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& Fabスタッフへの一周年記念プレゼント。UVプリンターで制作。

自分が手作りしたもので、人が喜んでくれる。そのシンプルな喜びを感じたくて、織田さんは、いつも「きっかけ」を探しているそうです。誰かが喜ぶタイミングはないかな、と。 

「僕にとっては、ものづくりができて、しかも人にも喜んでもらえて一石二鳥なんですよね。ものづくりとしても思い立った時にかなりのクオリティのものがパッと作れるじゃないですか。それは本当にすごいことだと思うんです。僕自身、FABマシンを使って今まで作れなかったようなものを作れるのは新鮮で楽しいですしね。ものづくりに対する想いは子どもの頃から基本的に変わってないと思うんです。幼稚な好奇心といたずら心にまかせて作り続けている感じですかね。プレゼント作りは、たぶん僕が一番楽しんでいると思います」

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会社の部下へのプレゼント。大変な仕事を乗り越えた記念に、特別な日付を刻んだ。

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海外に飛び立つ友達へのプレゼント。お店を貸切にしてミニ四駆大会を開催。横断幕はHappyPrinters(原宿)、キャンバスにプリントした写真は&Fab(渋谷)、アクリルフォトフレームはFabSpace(湘南T-SITE)でそれぞれ制作。

 

ものづくりをしている人は、
優しくて、前向きで、楽しい人ばかり。

織田さんは、Makers’ Base、&Fab、湘南T-SITE内のFab Space、食とものづくりスタジオFERMENTなど各地のFABスペースに顔を出して、ものづくりを楽しんでいると言います。

 「いろいろなFABスペースに出かけるのは、やはりそれぞれ個性が違うから。たとえばMakers’ Baseは、ものづくりをしている人同士の横のつながりが強いと思うんです。オープンな空間になっていて、一人ひとりが何をやっているかがよく見える。特にMakers’ Baseは、木工や金工など手作業もあるからなおさらかもしれません。それに混んでくると強制的に相席になります。そうなると『何を作ってるんですか?』と声をかけあって自然と仲良くなっていくんですよね。コミュニケーションが生まれやすい空間なんです」

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Makers’ Baseの2Fデジタルファブリケーションスペース(写真上)と1Fのアナログものづくりを主体としたエリア(写真下)

さらに織田さんは、FABスペースに集まってくる「人」にも強くひかれるそうです。

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「何がいいって、人がいいんですよね。ものづくりをしている人って、試作を重ねて、改良を重ねて、ようやく満足できるものができるということを知っているんです。だから皆さんいつも前向きで、相手に対する敬意にあふれていて、接していて楽しい方ばかりなんですよ。ものづくりについても、ヒントを出し過ぎると余計なお世話になることもあって、その絶妙なさじ加減もちゃんと分かっていたりして。困っていると『こういうのがあるんだけどさ…』って、さりげなく発想を広げてくれるんですよね。僕自身も誰かの相談に乗ったりする時があるんですが、そういう時は同じようにさりげなく伝えています。いつも好奇心にまかせていろいろな情報をストックしているので、いろいろな人に、いろいろなアドバイスをしていて、『情報のハブ』みたいな存在になっていますね。それと、いいと思ったものについてはちゃんと『いい!』と伝えるようにしています。ものづくりをしていると『これでいいのかな?』と不安に思う時があるんです。でも『あなたのやっていることは素晴らしいよ』と伝えれば、多少は不安も和らいで、ポジティブな意識になっていきますからね」

絶妙なさじ加減のアドバイス、自分一人では思いつかないようなアイデア、一人ひとりのものづくりに対する姿勢…。ものづくりを愛する素敵な仲間たちとのつながりに、織田さんは心から居心地の良さを感じているそうです。

「FABスペースの皆さんとは、まるで家族のようにいつもとても温かい感情を共有させてもらっていますね」

もう一つの大切なサードプレイス、
ミニ四駆。

また、ミニ四駆も織田さんにとってはサードプレイスなのだと言います。 

「息子が小学校2年生の時に『父ちゃん、俺ミニ四駆やりたい』と言い出して、息子が作っているのを見たり、手伝ったり、アドバイスしたりしてたんです。息子にアドバイスするためにインターネットで動画を調べていると、とんでもなく速いマシンが走っていたりして、そんなのを見ているうちに自分でもやりたくなってしまったんですね(笑)」

ミニ四駆は、コースがないと遊ぶことができない。だからショップなどに設置されているコースを皆で使う、コースを共有せざるを得ないから、自然と交流が生まれる。するとミニ四駆の作り方などの話を通じて顔見知りが増えていって、だんだんと居心地が良くなっていく。こうしてミニ四駆は織田さんにとってもう一つのサードプレイスになっていったそうです。

「ミニ四駆をやっている人たちも、FABスペースにいる人たちとよく似てるんです。自分の頭で考えて工夫しながらものを作るのが好きな人たちです。僕は人の知恵や工夫が非常に好きなんです。たとえば、プロダクトデザイン。椅子の高さ一つとっても、そこに作り手の意思があるじゃないですか。それに気づいた時に、人っていいなぁと思うんです。ミニ四駆も同じで、やっている人たちは一人ひとり『自分だったらこうする』という想いをいっぱい持っている。その意思が見えてくるのですごく楽しいですね」

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織田さんはミニ四駆作りを楽しみながらも公式戦にしているそうです。

「息子が始めたばかりの頃、彼はマシンを作り込んで公式大会の大人部門で3位に入賞したんです。僕もいけるんじゃないかと思って挑戦するものの敢えなく敗退…。でもその後、努力を重ねて初挑戦から3年で優勝するまでに。その時、息子がすごく泣いていて、嬉し泣きかと思ってその理由を聞いてみたら『なんで俺よりも実力が下の父ちゃんが優勝するんだ』と悔し泣き(笑)。その後、息子も優勝して、年間チャンピオンを決める大会でも親子ともども勝たせていただきました。このレベルまでくると、たとえおもちゃだとしても精度の高さが求められてきます。そうなると、Makers’ Baseにあるような工作機器が使いたくなっちゃうんですよね」 

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テクノロジーの無駄遣いと言われるような
カッコよくて刺激的なものを作って、
いつかMakers Faireに出展したい。

 いろいろなFABスペースに顔を出し、さまざまな出会いを重ねてきた織田さんは、まずは現場に足を運び、自分の手で作ることの大切さを強調します。

「少しでもものづくりに興味がある方は、現場に足を運んで、自分の目で見て、触って、作ってみるといいと思います。何より、作ることが大事です。どんなに仕事が忙しくても、FABスペースでは作らないと。何かしら作った方が皆の中に深く混ざっていけるんです。何もないとそれ以上広がらないじゃないですか。ゼロはいつまでたってもゼロのままですからね。だから、たとえ自分で中途半端な作品だなぁと思ってもいいんです。ちゃんと考えて作ってさえいれば、後は周りにいる人たちがあなたの意思を汲んでいろいろなヒントをくれますから。すべてはそこからですからね。僕もまだまだこれからです。今後はテクノロジーの無駄遣いと言われるようなカッコよくて刺激的なものを作っていきたいと思っています。そしていつかMakers Faireに出展したいですね」

 

FABスペースというサードプレイスを得て、織田さんはこれからもものづくりに取り組んでいきます。ものづくりを通じて、人とつながり、人を喜ばせることをとことん楽しみながら。 

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(写真左から)松田純平さん(Makers’ Base)織田公康さん

 

(文:宗像誠也(ホワイトノート株式会社)、写真:熊谷薫(TOKYO FABBERS事務局))

 

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