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INTERVIEW

ものづくりを通じて人と人をつなぎ、さまざまな課題を発見し解決する手助けをするFABBER達の活躍とライフスタイルをご紹介

FABBERS’ INTERVIEW Vol.03 

主婦、iPhonegrapher、そしてFABBERへ。 さまざまな人とのつながりを楽しみながら、 新しい作品を創り続ける。

  • 松原悦子(ちぇぶ)(57歳)
  • iPhonegrapher

写真や創作活動とは縁遠い、
いたって普通の主婦でした。

「写真を撮るようになって、本当にいろいろな人に出会いましたね。写真を一緒に撮りに行く友だちはもちろん、撮った写真を現像してくれる人、プリントしてくれる人、オリジナルの写真立てを製作してくれる人…。たくさんの人とつながることで刺激やアイデアをもらって、私が撮る写真も随分変わってきました。“理解してくれる仲間と一緒に作り上げていく感覚”と言うのでしょうか。自分でも不思議だなぁって思うんですよ。だって私、写真やものづくり、FABとはまったく縁のない普通の主婦だったんですから。今も、これからも主婦ですけどね(笑)」

そう語るのは、iPhoneを使って撮影するフォトグラファー“iPhonegrapher”の「ちぇぶさん」こと松原悦子さん。いつもiPhoneを持ち歩き、一枚の写真の中に違う風景や人物を写し込む「多重露光」という撮影方法を駆使して、幻想的で美しい作品を撮り続けています。2009年にはアップルストア銀座で開催された「第2回iPhoneフォトコンテスト」でグランプリを受賞。その後、写真展への参加や写真雑誌での連載、写真集アプリの公開、FABを活用した作品づくりなど、精力的な創作活動を展開しています。

ちぇぶ1

tyeb多重露光で撮影された写真 

「小さい頃は、絵を描くのは苦手でしたし、親に包丁を持たせてもらえないほど不器用な子どもだったんですよ。大人になってからも、写真は撮られる方が専門でした。私がレンズ付きフィルムで家族写真を撮ると構図がめちゃくちゃで…。家族がほとんど写ってない家族写真を撮ってしまったりして、夫にはよく『なんだこれは?』って笑われていたんです(笑)」

そんなちぇぶさんが、写真の世界に入り込んでいったきっかけは友人の何気ない一言だったそうです。

「2004年からブログを公開していて、ある日ケータイのカメラで撮った写真を載せたんです。そうしたら友だちが『写真おもしろいね』って言ってくれて。予想外の反応に私は『え!?これおもしろいの?』って驚きましたが、とても嬉しかったですね」

そんな出来事をきっかけに、ちぇぶさんの写真熱に火がつきました。そして、2006年春、運命の一枚に出会います。

偶然撮れた一枚の写真から、
新しい世界が広がり始める。

「レンズがなく、ファインダーを覗くこともない、シャッターも手動で、露光時間も勘。でも、不思議と味のある写真が撮れてしまうピンホール(針穴)カメラというのがあって、それに夢中になっていた時期があったんです。ある日、ロシアの絵本などに登場するチェブラーシカの人形をピンホールカメラで撮っていたんですが、現像してみたらチェブラーシカの影にチェブラーシカの顔が写ってて…。びっくりして『何これ!?心霊写真!?』って…。調べてみると、多重露光という撮影テクニックだと分かりました。どうやら私がフィルムを巻き忘れてしまったのが原因だったみたいです(笑)」

 

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ピンホールカメラで撮影した写真。

12092397_1158489897498629_808203009_nちぇぶさんが初めて撮影した多重露光の写真。

偶然撮れた一枚から、ちぇぶさんは多重露光にはまり出します。そして、やがて現在の“相棒”であるiPhoneに出会うことになります。

「友だちに『iPhoneならアプリで多重露光ができるよ』と教えてもらったんです。当時はいわゆるガラケーを使っていて、iPhoneはカメラとして持ち歩いていましたね。新しい多重露光のアプリが出るとすぐにそれを試して、毎日作品を量産していました」

そうして撮り続けてきた写真の一枚が、『第2回iPhoneフォトコンテスト』でグランプリに。ちぇぶさんはiPhonegrapherとしての人生を歩き始めます。

写真の撮り方から、見せ方へ。
自分のアイデアを形にする喜びを知った。

「グランプリをいただいてからは、撮る写真にも変化が出てきましたね。写真展に参加させていただくようになったことで、写真の見せ方にも意識が向くようになって、『もっとおもしろく写真を見せたい!』と思うようになったんです」

写真の撮り方から、写真の見せ方へ。その意識が決定的に変わったのは、友だちの写真展の準備を手伝ったことがきっかけだったとちぇぶさんは言います。

「友だちが小さな飲食店で写真展を開催すると聞いて、そのお手伝いをしたんです。その友だちは家にプリンターがないということで、『じゃあ、うちで印刷する?』と。友だちと一緒に作品を様々な紙にプリントしていたら、紙の種類によって全然違う仕上がりになることに気が付いて、改めて『写真っておもしろい!』と思いましたね。撮って終わりじゃない、奥が深いなぁ、と」

その後、ちぇぶさんは自身でも新しい写真の見せ方を形にし始めます。

「たとえば、横浜赤レンガ倉庫で開催されたiPhoneケース展では、異なる二枚の写真をデジタルネガフィルムと通常の紙にプリントして、多重露光に見えるように重ねて展示したんです。このポイントは、上に重ねたデジタルネガフィルムを湾曲させたことですね。見る角度によって見え方が違っていて、我ながらおもしろい作品になりました。自分のアイデアを形にした初めての経験。これは新しい喜びでしたね」

12076179_1155105061170446_84020278_o12085193_1155105084503777_1236465763_o横浜赤レンガ倉庫で開催されたiPhoneケース展に出品した作品。

そして、見せ方を工夫するおもしろさに目覚めたちぇぶさんは、原宿のFABスペース「HappyPrinters」に出会います。

FABとの出会いで、
作品づくりの可能性が格段に広がった。

「HappyPrintersで開催された『iPhone写真をプリントしてみよう!』というワークショップに友だちが参加したんです。そこで作った作品を見せてくれて…。アクリル板に写真をプリントしたものだったんですが、一目見た瞬間からワクワクが止まりませんでしたね。後ろが透けた状態でプリントできるんですから。『重ねれば多重露光みたいな写真になるじゃん!』って、思わず興奮してしまいました(笑)」

そしてちぇぶさんは、持ち前のフットワークの軽さを発揮して、早速HappyPrintersに通い始めます。

「試しにアクリル板にプリントしてみたらとてもいい仕上がりで、写真展に出したところ反響も上々でした。HappyPrintersでは、作業にお客さん自身が加わることが約束事になっているので、仕上がりまでの工程を自分で試行錯誤しながら作っていけたのもおもしろかったですね。他の印刷会社だとデータを渡して仕上がりはおまかせになってしまうところが多いですから」

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アクリル板5枚にプリントし重ねた作品。

アクリル板という新しい見せ方は、写真の撮り方にもいい影響をもたらしたとちぇぶさんは言います。

「写真を撮る時に『これはアクリルでプリントしたらおもしろいものになるぞ』と考えるようになりました。仕上がりから逆算して撮るようになって、撮り方の幅が広がったように感じます」

また、HappyPrintersというFABスペースも、ちぇぶさんにとって作品づくりの良きパートナーとなっているようです。

「それまでは、ずっと作品を作り続けていると、ある日突然アイデアが出てこなくなる時があったんです。それで『誰か私の写真をプロデュースしてくれないかなぁ…』なんて柄にもないことを思った時もありました(笑)。でも、HappyPrintersを知ってからは、そんなことは思わなくなりましたね。ここに来れば、スタッフの皆さんにいろいろと相談できますし、表現のアイデアもいただけたりします。ものづくりというと職人的に一人で黙々と作っていくイメージもありますが、みんなで『ああでもない、こうでもない』と言いながら一緒にワイワイ作っていくやり方もあるんです。これがとても楽しいですね」

これからもいろいろな人と出会って、
どんどん新しい作品を作っていきたい。

さまざまなものづくりの“場”に出入りして、さまざまな人と出会うこと。それが今、大きな楽しみになっているとちぇぶさんは言います。

「『どこに行ってもちぇぶさんの知り合いがいる!』なんておおげさなことを言う友だちもいますが(笑)でも、そう思われるくらいさまざまな場所に顔を出していますね。ものづくりの場には、写真を撮っているだけでは出会えなかった人たちがたくさんいますので。そういう人たちとの出会いが、とてもいい刺激になるんですよ。たとえば、写真友だちの紹介で知り合ったオーダーメイド家具を作る職人さんの工房もそう。打ち合わせの席でアクリル板に写真をプリントした作品を見せて相談してみたんです。『これの新しい見せ方、何かないですかね?』って。そうしたら、家具の端材で素敵な写真スタンドを作ってくれて。端材とは思えないクオリティで感動しましたね」

7207ef91defdafe99bb308e0411b89e3_90c148109e52eb22ea6c6fb2501fde40DSC01606家具の端材で作られた写真スタンド。リバーシブルで使用できる。(製作:yokohama arno)

写真を始めたことで多くの人と出会い、さまざまな技術や才能を持った人たちとネットワークを築き、新たな刺激をもらいながら表現の世界を広げてきたちぇぶさんは、この楽しさをもっと多くの人にも感じてもらいたいと考えているそうです。

「私のような主婦でも、こんなに刺激的で充実した毎日を過ごせているんですからね。他の人にも、ものを作る楽しさ、作ったものを発信する楽しさを体験してもらいたいですね。本当に楽しいですから。だから、できる限り写真やものづくりに興味がない皆さんにも作品を見てもらいたいなと思います。私の作品を見て『写真ってこんな楽しみ方があるんだ』って気づいてもらえたら嬉しいですし、実際にやり始めてもらえたらもっと嬉しいですね。時々、興味を持ってくれた方をHappyPrintersに連れて行って一緒にプリントしたりもしているんですよ」

IMGP0016IMGP0027HappyPrintersにて、端材に多重露光の写真をUVプリント。

写真やものづくりなど新しいことを始めるのに、年齢も才能も関係ないとちぇぶさんは言います。

「私の場合、会う人会う人、ほぼみんな年下で、どこに行っても私が年齢トップですけどね(笑)。でも、共通の趣味ややりたいことを持っていれば、皆さんすんなりと受け入れてくれますから。それに才能だって、始める前からあるかどうか気にする必要はありません。私も幼馴染には驚かれますから、『才能あったの?』って(笑)。才能があるかどうかはいまだに分かりませんが、とにかく写真を撮ることや作品を作ることが楽しい、心からそう思えるかどうかが大事なんだと思います。後は自分から出かけていくこと、人に会うことですね。私は、これからもいろいろな人と出会って、どんどん新しい作品を作っていきたいと思っています。子育て後の第二の人生、もっともっと楽しんでいきますよ」

自分が作りたいものをまっすぐに見すえて。ちぇぶさんはこれからも、相棒のiPhoneを片手にたくさんの出会いを笑顔で重ねていきます。

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(写真左から)
松原悦子(ちぇぶ)さん
杉原彩子さん(HappyPrinters)

(文:宗像誠也(ホワイトノート株式会社)、写真:熊谷薫(TOKYO FABBERS事務局))

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